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2020年2月28日

発熱外来の功罪 医療崩壊を防ぐ

今、盛んに「発熱外来」を作って対応すべきだ!という意見がTVやSNSで繰り広げられています。

これはひとえに電話相談窓口の混雑と対応の悪さゆえなのですが、実は2009年の新型インフルエンザ騒ぎの時に、「発熱相談センター」という電話相談窓口を作って失敗した経験があるのですが、今回も全くその二の舞です。


発熱外来、全国一律の対策への批判が相次ぐ◆Vol.60|医療維新 - m3.comの医療コラム

本来は病院が軽症者で混乱しないように、軽症者と重症者をふるい分けする働きを期待したものだったのですが、結局、センターに電話が殺到するものの、電話では感染の有無が把握しきれなかったり、定義通りの症状が無い場合など、経験ある医師でないと判断がつかない事例があったのです。

そして、その際作られた「発熱外来」も失敗。。。

発熱外来病院では2次救急受け入れを中断◆Vol.23|医療維新 - m3.comの医療コラム

新型インフルエンザの際、患者が発生した神戸では発熱外来を地域の中核病院が担ったため、重装備での診療は消耗も激しく、2週間で破綻をきたしてしまいました。
また、この際、地域の2次救急(中等度の一般病棟に短期間の入院が必要なくらいの患者用)を休止して対応したようなので、おなかが痛くても、ケガをしても、救急診療してもらえない人が相当数出たのではないかと想像できます。

中には速やかに入院治療を開始したい本当に重症の患者さんが大勢の発熱外来の診察待ちの中に埋もれてしまい、治療開始が遅れた事例もあったとのこと。

結局、中核病院の発熱外来をやめ、相談センター経由で市中のクリニックに患者のふるい分けを担当してもらうことで、やっとスムーズにまわったとのこと。

また、患者の受け入れを開始してからあっという間に入院病床はいっぱいになり、一旦入院してもらった症状の軽い患者に家に帰ってもらい、医療の崩壊を防いだのです。
国内発生早期の「発熱外来」は破綻寸前だった:日経メディカル

今回の肺炎についても、同じような問題が発生するのが容易に想像できるので、重症な患者を診る使命を負っている病院の医師ほど、安易に患者が病院に殺到する状況を作りたくないと思っているはず。

今回の政府の方針でも、状況によっては自宅待機も、という文言が入っているのはこの時の反省が一応、反映されているのだろうと思います。

医療崩壊を防ぐためには重症患者を診療する病院に人的、物的な余裕を作っておくのが重要で、そのためにも、検査を求めて病院をはしごしたり、安易に大病院へなだれ込むのをやめ、近くのクリニックの医師を信頼して指示に従い、重症になったときのためのルートを確保するのが大切です。


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2 件のコメント:
dabo_gc さんのコメント...

仰るとおりなのが私にも段々と理解できるようになりました。

でも不安にかられる人たちはパニック状態にあって聞く耳を持たないのは、私のブログのコメント欄でもよく分かること。

またメディアも不安を煽れば視聴率が上がるのも問題。そして煽るのも専門家であることからこれもまた自然に終息することを待つしか無いのかと思ったり。

海外で起きている感染した同胞に対する差別や暴動が日本では起きないことを祈るばかりです。

ricoyon さんのコメント...

問題はみんな自分が重症だ、と思っていることなんだと思います。
医療従事者からしたら、いやいや、重症って言うのはもっと大変なんだよ、と思っても、元気に過ごしてきた人には理解しづらいので、仕方ないのですが。。。

特にTV出ている自称専門家や司会者はどんどん変な発言が増えてて困りものですが、まともな出演者(特に政治家)がそれを制してくれないので、最近は怒りを通り越して見る気が失せます。



昨日のクローズアップ現代が良くまとまっていました。

下のリンクは非公式動画なので、ご理解の上、ご覧ください。
クローズアップ現代+「【新型ウイルスは】軽症と重症の分かれ目 診察した医師証言」 0310 202003032200 - 動画 Dailymotion https://www.dailymotion.com/video/x7sgkmh

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