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麻疹(はしか)の予防接種について

麻疹(はしか)は日本でも2008年に若年層を中心に大流行し、大きく報道されました。
マレーシアにおいて、2015年11月に入り、麻しん流行の兆しがある旨、報道されています。

発症者数は昨年が人口100万人当たり7.8件、今年は26.3件となっており、3倍強です。

麻疹は非常に感染力の強いウィルスで、空気感染により免疫のない人はほぼ100%感染、発症することが知られており、実際にマレーシアでの感染者の半数はワクチン未接種者と言われています。
すなわち、家庭内で患者が一人発生してしまうと、ワクチン未接種もしくは麻疹感染歴のない他の家族はかなりの高率で感染、発症します。
また、患者のうち30%が重症化し、1000人に1人が死に至ります。

実 はマレーシアでは経口ポリオワクチンの製造過程で豚由来のたんぱく分解酵素であるトリプシンを使用していることが発覚し、ムスリムの間で大きな問題とな り、ワクチン全体への不信感につながっています。近年、ムスリムを中心に小児のワクチン接種を拒否する親が増えてきている現状があり、その影響を受けて か、昨年より、麻疹、百日咳、破傷風の患者数が増加傾向にあります。

ソース:
Latest Measles Outbreak In Malaysia - Here's What You Should Know To Protect Yourself
http://www.malaysiandigest.com/features/577881-latest-measles-outbreak-in-malaysia-here-s-what-you-should-know-to-protect-yourself.html

More Malaysian parents rejecting children's immunisation over pig DNA fears
http://www.channelnewsasia.com/news/asiapacific/more-malaysian-parents/2233628.html 

‘Go for jabs, do not take measles lightly’
http://www.thestar.com.my/news/nation/2015/11/09/go-for-jabs-do-not-take-measles-lightly-doc-complications-include-severe-pneumonia/

現 在、日本でもマレーシアでも麻疹ワクチンは2回接種が行われており、その対象は1歳と6歳(マレーシアの2回目は7歳)です。麻疹も含め、WHOの推奨に 従い、ワクチンプログラムを遂行しており、そのカバー率は非常に高く、感染症による小児の死亡率低下に寄与しています。
しかし、1歳未満の未接種者や1~6歳の1回接種者のうち、抗体が付かない、できても短期で消えてしまう場合があるため、接種が広がっても完全に封じ込めることは難しい状態にあります。

日本で麻疹ワクチンが定期接種化されたのは1978年からで、それ以前は任意接種であったため、それ以前に生まれた方で麻疹にかかった記憶が無い場合はワクチン接種が望ましいです。

これらを踏まえ、麻疹ワクチン接種が望ましい方は以下の通りです。

※麻疹にかかったことがある方は、生涯免疫が成立していますので、ワクチンは不要です。
  •  1歳、6歳の日本で定期接種対象となっている小児
  • 定期接種時期に事情によりワクチン接種が行えていない人
  • 2000年以前に生まれ、2回目の接種を行っていない人(2006年より2回接種が開始され、2008年から2013年まで1回のみ接種者対象の臨時の定期接種が行われた)
  • 成人で麻疹ワクチン接種歴、麻疹感染歴の記録・記憶のない人
    (特にこれから妊娠を望まれる方・可能性のある方(妊娠中はワクチン接種できません)やワクチン2回接種が終わっていない小児と日常的に接触がある方)
 日本では時期により、麻疹単独ワクチン、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)、麻疹・おたふく・風疹混合ワクチン(MMR:新三種混合)な ど、接種形態が異なります。また、ワクチン接種プログラムも猫の目のように変わっているため、記憶があやふやな場合はワクチンを打ってしまうか、抗体価 (免疫がどのくらいついているか)を調べてもらう必要があります。

麻疹の症状

  • 38℃前後の発熱、発疹、鼻水、咳
  • 重症化すると→気管支炎、肺炎、脳炎など

診断・治療

  • マレーシアではインフルエンザ、デング熱、チクングニア熱などとの鑑別が必要
    発熱時は診断がつくまでアセトアミノフェン以外は服用しない
  • 麻疹の発疹はデング熱と類似しており、不慣れな医師だと見分けがつかないこともある
  • 臨床症状だけでなく、PCR(ウィルスを検出する方法)、IgM抗体等の検査が重要
  • 麻疹に対する特別な治療法はなく、対症療法中心

家族・近隣に麻疹患者が発生したら

  • 空気感染するため、ワクチン未接種者からは隔離する
  • ワクチン未接種者に速やかにワクチン接種を行う(医師の指示に従って)
  • 学校は熱が下がってからも3日は休む(日本の学校保健安全法に準じて)
  • 大人の感染者も子供の出席停止に準じて出勤・外出は控える

マレーシア在住の方も、これからマレーシアに来られる方も麻疹ワクチンもお忘れなく。

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