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2020年2月29日

コロナの検査はどうするべきなのか 韓国のようになってはいけない!

コロナの検査がしてもらえない!という話題がTVやSNSでにぎわっていますが、果たして、どうすべきなのでしょうか?



検査してほしい人の言い分


  • こんなに症状がひどいのに、良くならないのは検査してもらえないからだ(検査してコロナと分かったら、薬で治してもらえる)
  • 風邪症状があるけどコロナと言われないとただの風邪では仕事が休めない
  • 周囲にコロナをうつしたら、と思うと不安
  • 咳をする人を見ると、コロナかなと不安になるから、検査して入院させてほしい
  • 咳をしたら白い目で見られるから陰性と確認したい
  • 他国では1日に数千件もできているのだから、日本でも出来て当然だろう
  • 検査をしないから検査してもらえるまで病院を転々と受診する
  • 政府はコロナを矮小化させようとしている

言いたいことはわかります。では、

検査で分かること


は何かというと、
  • 新型コロナウイルスに感染しているかどうか

だけです。

肺炎の治療をする上でコロナと分かっても、軽症の場合、特別な治療はありません。
高熱が出ていれば解熱剤、咳がひどければ咳止め、痰がひどければ痰の薬。
他にも原因菌がかぶっていれば抗生物質など。

しかも検査で陰性と出てもそれは安心にはつながりません。
もし検査で陰性と出ても症状が治まらなければ(検査しただけでは治りませんから)、検査は偽陰性だったのだろうか、検査のやり方が悪かったのだろうか、医師が嘘を言っているのだろうか、などなど、不安はさらに増強する可能性すらあります。

一方、陽性だったとしたら、今の感染症法の立て付けだと、即隔離入院、もし今後患者が増えてくれば、軽症だったら自宅で自己隔離です。
家族がいるから、とかそういう自分の都合は通用しません。

また、検査に関しては色々な政治的、経済的思惑をもって発信している人も多いので(特に推進派)、しっかりと皆が自分で考えて行動する必要があります。


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韓国の現状


まず、韓国の状況を見てみましょう。

コロナウイルス感染症-19国内発生状況(2月28日) 韓国政府(google機械翻訳)

1日の検査件数は1万件、などと言われていますが、最新(2/27)の値で、427(新規陽性患者)+8869(新規陰性患者)=9296件
(検査をこの日に受けた人は12523件)
確かにすごい数です。
当日に処理できないほどの人が検査を受けているのが現状です。

PCR検査はそもそも、それほど感染しているかどうかを100%当てられる検査ではなく、ある程度の間違いが混在します。
感染しているのに陰性と出たり、感染していないのに陽性と出たり。

検査はむやみやたらにやればよい、というわけではなく、感染の可能性を強く疑う症例に限らないと、何をしたいのかが分からなくなってしまうのです。

検査の的中率を考える


twitterで善意で図式化してくださっているのを引用します。




つまり、分母を見境なしに増やしてしまうと、本当は感染していないのに、陽性と出てしまう総数がすごく増えてしまって、その大勢いる陽性者の中から本当に感染している人、しかも重症化のリスクの高い人を見つけ出して治療を的確に進めていくのは至難の業になります。

症状の有無にかかわらず検査を行ったチャーター便やクルーズ船の全陽性患者に対する無症状陽性者の割合がそれぞれ26.7%、55.6%と、国内発生例の7.7%と比べて段違いに高いのも、一部はこの検査の落とし穴にはまっているのかもしれません。

実際に、韓国ではアウトブレイクしている大邱地域を中心に多くの病院をコロナ専用に振り分けていますが、現在、1000人以上の人が陽性と判定され、入院待機者が680人いて、それぞれに市の担当者が電話で状態を確認しているとのこと。

韓国では自宅待機中に死者が


その中で、20年前に腎移植をしていた70代の患者さん(おそらく免疫抑制剤を服用されていたのではないかと思われます)が自宅で入院を待っている間に急変して救急搬送直後に亡くなりました。

韓国で13人目の死者 70代の新興宗教信者=新型コロナ | 聯合ニュース

その翌日も、自宅待機中に症状が悪化してお亡くなりになった患者さんが発生しています。

この状況を打開するために医療従事者を他地域から応援に向かわせたり、病床数を増やしたり、今入院している症状の軽い方(重症化する可能性の低い方)を自宅待機に転換する方向で対策を講じているようですが。。。。

病床数を増やすと、ベッドも医療従事者もコロナに割かれてしまうため、その分コロナ以外の病気の患者さんの治療は最小限に限定されてしまいます。
(例えば、予定していた手術が延期になったり、命にかかわらない病状の人は家に帰されたり、医師や看護師のシフトが激務になったり)

一方、自宅待機にしても、パニックになればなるほど元気でも検査を受けに来る人は増えるので、本当は感染していないけれど検査で陽性と出てしまったり、逆に感染しているのに陰性と出てしまう総数も増えてきて、重症化しやすい人の抽出漏れがさらに発生するはず。

検査の方針はどうあるべきか


現在、初動では日本ではコロナと他の呼吸器感染症は区別せずに対応する、という方針で動いています。
一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページ:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について (2020年2月26日版)

ウイルス検査も症例を吟味して、入院して他の原因が排除された場合に限定して(=ウイルス性肺炎を疑う場合)行う、としています。
検査をするかどうかよりも、肺炎の重症例を見逃さない方が大事なのです。

中国でさえ、PCR検査は最後の最後です。
Therapeutic and triage strategies for 2019 novel coronavirus disease in fever clinics - The Lancet Respiratory Medicine

善意で上のフローチャートを和訳してくださっています。




全国的に検査数が少ないといわれている中、医師たちはこういう仕組みを良く知っていて、地域の医療崩壊を起こさないように、重症者にできるだけ手厚く治療が行えるように、慎重に検査や治療を行っているのではないかと思います。

特に、2009年の新型インフルエンザの時にパニックになった兵庫県や大阪府は同じ轍を踏まないよう、努力を重ねているはず。

政府にしても、本当なら検査数を増やして、偽陽性や軽症者をつかんだ方が統計上の死亡率は下がるはずなので、その方が世界からの見え方は良いはず。
(2/28現在の陽性者210名、死亡者4名ということは、死亡率は約2%で湖北省を含めた中国全土と同程度、という計算になります。)

日本が目指しているのは検査を受けらえる安心ではなく、このコロナで亡くなる方を限りなく少なく治め、悲しむ家族を減らす、ということです。

何の責任も持たずに騒ぐTVのワイドショーや、SNSの根拠のないうわさや個人の偏った意見に耳を貸す前に、あなたや地域の健康を思って治療してくれる医療従事者の意見を信じて行動してもらいたいなあと思います。

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3 件のコメント:
匿名 さんのコメント...

PCRはエラー率0.00108%です。つまり、100%正確です。
本当は感染していないけれど検査で陽性と出てしまったり、はPCRでは有り得ません。本当は感染しているけど検査で陰性と出る場合はあります。それは何故かというと、採取する場所、ウィルス数によります。
喉で検査したらウィルスが少なく陰性になったりします。医師の擦り具合にもよります。ちょこっと軽く擦るくらいでは陽性でも陰性になります。
新型肺炎の疑いが強い患者はたくさんいるのに、保健所に拒否られる医師の気持ちもわかってくださいね!新型肺炎と普通の肺炎は投薬も違いますから。
医療従事者でもないのに、嘘ばっかり書かないで下さいね。

ricoyon さんのコメント...

PCRに関してご丁寧なコメントありがとうございます。
当方はPCRについては一般的な知識しか持ち合わせておりません。
色々さがしましたが、新型コロナウイルスのPCR検査に関する正確な特異度は見つけられませんでした。
もしよろしければ、今後の勉強のため、URLをご教授いただきたいと思います。

当方がこの記事を書くにあたり、参考にさせていただいたwebサイトをご紹介いたしますので、「感度」と「特異度」に関してはこちらの記述にてご確認いただければと思います(他にもいろいろ参考にさせていただいておりますが、書かれている内容はほぼ同じなので一つのみ掲載)。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査の意義をEBM的思考で考える | The SPELL blog
http://spell.umin.jp/thespellblog/?p=235


新型肺炎の治療薬については確固たるものが無いのが現状で、現在報告が上がっているものについても、すべてが少数の患者さんでの症例報告のみです。
それゆえ、世界中で治療に難渋したり、お亡くなりになっている方が多くおられるのは各種報告をご覧になればお分かりいただけるのではないかと思います。

保健所に断られるのとPCRの精度の問題はまた別の話です。
地域差はあると思いますが、生死にかかわる重症な患者さんは検査をされている、という話も聞きます。
日本が今目指しているのは、コロナでも、それ以外の病気でも、重症患者さんの治療の場をしっかり確保する、ということです。

(文面より診療にあたられている医師と推測いたしますが)日々診療にてご多忙と存じますが、今後も言葉の不足や間違い等お気づきの点がありましたら、ご指摘ご指導よろしくお願いいたします。

MDCS さんのコメント...

> PCRはエラー率0.00108%です。つまり、100%正確です。
ということは、10,000,000(1千万)回のテストで108回のエラーが発生するということですよね。
これはCOVID-19に対するPCR検査のことですか? 昨年12月以降3ヶ月間に、この新型ウイルスで1千万回のテストを行うことは、人間に対しても実験室でウイルスを培養したとしても、これだけの回数のテストを行うことは時間的に不可能ですよね。

また、
> 本当は感染していないけれど検査で陽性と出てしまったり、はPCRでは有り得ません。
エラーの定義が書いてありませんが、上の文章から偽陽性の確率はゼロだと断言していますので、エラーは全て偽陰性のことですね。これも多くのサイトの数値をまったく否定していますね。

多くのサイトとは全くことなる数値を書いても、それこそフェイクニュースですよ。
是非、根拠を示してください。

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