今までの感染者はウィルスを海外から持ち込んだ来日外国人であったのに対し、今回の2例は国内で感染した初の事例だったため、ニュースなどでも非常に大きく取り上げられました。
今までは短期間で通り過ぎるだけの観光客だったのに対して、同じような環境で生活しているであろう在住者の事例であることから、急に身近なことに感じられ、外出してもマスクをしている人が急に増えました。
昨日深夜の厚労省の会見でも、もう水際対策ではどうにかなる状況ではなく、検疫は意味がなくなっているし、今後、さらに感染者が増えてくれば、濃厚接触者のリサーチも無意味になってくる、と。
コロナウィルスはもはや特殊なものではない
これはコロナウィルスは隣にいる人が保菌しているかもしれない、そんな環境になっているということなのです。
もう、身近なウィルスです。
特殊な環境の人だけが感染するとは限らないのです。
(注:コロナウィルスを見つける検査は現在のところ、「武漢」に関係している人しか対象になっていないため、今回の事例は特殊で、おそらく、この先しばらくの間は厚労省が発表する感染者は「武漢」に関連した人か、その濃厚接触者だけになるはずです。)
コロナウィルスか?と思っても、(今のところ)「武漢」に関連していなければ、ウィルスの検査はしてもらえません。
おそらく保健所に相談しても同じだと思います。
え~!そんな!
と思われるかもしれませんが、それが普通の呼吸器感染症の治療です。
今まで咳が止まらない時、原因菌を気にしたことってありますか?
つまり、そのくらいありふれたウィルスと思う必要があるということ(ちょっと極端ですが)。
既存の菌やインフルエンザなどであれば原因菌(ウィルス)を特定してその治療薬を。
原因が確定できなければ、症状や重症度に合わせた対症療法を行っていくことになります。
熱があれば解熱剤が投与され、咳があれば咳止めが。
症状が軽ければ、まずは自宅で経過観察です。
それで症状が持続するか、悪化するかすれば、医師の判断でその先の検査や治療が決められていくようになるのだと思います(医師が必要があると判断すればコロナウィルスの検査も)。
もし、日本の医療界がウィルス検査を含めてコロナウィルス治療の方向性を変えるとすれば、国内感染事例で重症化した時でしょう(私見)。
恐怖の源は何なのか?
- ほとんどの医師が治療経験の無い、未知のウィルスである
- 過去のSARS、MARSなどコロナウィルスでの死亡率が高かったため、かかると重症化するのではないかと思う
- 検査が限定されていて、正しく診断・治療が行われないのではないかと不安になる
- このウィルスに特有な治療薬が無く、治るかどうか不安になる
- 隔離されて治療を受ける
- かかると(体が弱い)家族や友達にうつしてしまうのではないかと心配になる
- 政府の言っていることは嘘に違いないという思い
- SNSなどのデマ情報や恐怖心をあおる情報
このように、情報がないこと、不安な気持ちが恐怖心を掻き立てているのです。
震災の時などと同じく、通常モードに遷移していても、マスコミやSNSは興味を掻き立てるように緊急モードであるかのような論調が続きがちです。
他の国とは環境が違う
- 大量の患者、死亡者が出ているのは中国のみである
- ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどは物理的に離れているため、水際対策がまだ有効である
- 水際対策を重点的に行っている香港・台湾は前のSARSの時にたくさんの死者を出し、(中国との関係で)WHOからのサポートが望めない可能性がある
- 香港やシンガポールのような小さい国や地域では小さな芽を摘まないと医療が破綻してしまう可能性がある
など、他の国とはバックグラウンドが異なっているため、あの国ではあんな対策をしているのに!という比較はあまり意味がありません。
また、日本政府の対応に色々言いたいことがある方も多いと思いますが、今、身近にあるウィルスと個々がどのように対峙するかがもっと大事です。
高齢者はそもそも肺炎に注意が必要
そもそも「肺炎」による死亡は全死亡原因の第五位で、肺炎で死亡した人の98%は65歳以上というデータ(気をつけて、肺炎球菌による肺炎 | MSD←厚労省人口動態調査より)もあり、高齢者はこのコロナウィルスの存在に関係なく肺炎には注意すべきです。
効果が発揮されるまで日にちはかかりますが、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを接種されていない方は肺炎そのものへのリスク軽減のため、ワクチン接種を推奨します。
日本は幸い、健康保険(+感染症法)のおかげで症状があれば気兼ねなく病院を受診することができます。
過度な不安を抱かず、予防に重点を置き、気になる症状があれば悪化する前に受診する心構えが大切です。
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